「歌・こよみ365完全版」ディスク15は、「前進」がテーマのようです。そして、1日の始まりということなのか、朝の歌が多くあります。1曲目に続いて3曲目も朝の歌です。
えらく大げさな歌詞で始まります。
どんなに 温和な人だって
人には 戦わなくちゃ いけないときがある
盛り上げておいて、こう続きます。
その名は 眠気 またの名を 睡魔
お布団が誘惑する もう寝ちゃおうか。
言われてみたら「睡魔」という妖怪がいそうな気がしてきます。夢魔(むま)って妖怪もいますからね。
さて、亡くなった落語家の桂枝雀は、笑いについて「緊張の緩和」理論を提唱していました。緊張が高まった後、それが緩和されるところに笑いが生まれるというものです。
この曲も、「戦わなくちゃいけない」と緊張させておいて「単に眠いだけ」と緩和されることで笑いが生まれます。
明日のテストのため、夢のため、未来のため、負けられない戦いだそうです。学生さんなのでしょうね。
ただ、時にはこういう日もあっていいと思いますが、日常的な睡眠不足は健康に良くないそうです(当たり前ですね)。
漫画家の水木しげるは「人間1日8時間寝ないと駄目だ」と主張し、どんなに忙しいときでもきちんと寝ていたそうです(本当に8時間寝ていたかどうかは分かりませんが)。同時代の漫画家の多くが、1日3時間4時間の睡眠で仕事をしていましたが、皆さん他界されていることを思うと、真偽はともかく説得力があります。
寝ることは、記憶を定着させる作用もあるそうで、勉強した後に一度寝た方が内容をよく覚えているという実験結果もあるそうです(でも、そこで寝る勇気を持っている人は多くないでしょうね)。
徹夜には独特の魅力もあります。昔読んだコラムにこういうフレーズがありました。
さあ、今日は徹夜だ、決心した瞬間、無限の時間が手に入る。
朝までは長い。
きっと、この仕事の山を片付けられるかもしれない。
もちろんそれは錯覚にすぎないのだけれど。月刊「インターフェース」CQ出版社1985年9月号
このコラム「でも、そこで早く寝て、翌朝すっきりした頭で働けるような人は好きじゃない」と続きます。
仕事を完ぺきにこなし、健康な生活を続けらるのが理想ですが、どこか人間的ではないように思えます。連日の深夜残業も非人間的ですが、常に完ぺきなのもやはり非人間的です。
最後の頑張りで徹夜をすることは、人生のメリハリとなって、人間としての幅となるはずです。小説に登場する魅力的な主人公の多くは、日常生活がどこか抜けているのもそのせいでしょう。
「徹夜を決心した瞬間に無限の時間が手に入る」という錯覚こそ、人間的な感覚です。先に紹介した、徹夜についてのコラムのタイトルは「徹夜は人間だけに与えられた自由である」でした。
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