2014年11月4日火曜日

キラリと光る(210/365)

「誠心誠意」という言葉は、簡単に使えるものじゃないという歌い出しです。

仕事で失敗でもしたのでしょうか。

仕事の失敗は、まずは謝って(それこそ誠心誠意)、どれが駄目ならお金で解決します(たいていは払い戻し、最悪は賠償金)。

でも、結局、仕事の失敗は次の仕事を頑張るしかありません。だから、一番怖いのは謝罪でも賠償金でもなく、次のチャンスがなくなることです。

逆に、仕事の成功に対する報酬も次の仕事です。成功すれば次の仕事が優先的にきます。

コンピュータ開発プロジェクトを描いたノンフィクション『超マシン誕生』によると、プロジェクト,リーダーのトム・ウエストは「プロジェクトはピンボールと同じだ」と言ったそうです。

1ゲーム勝てばもう1ゲーム遊べる。
このマシンで勝利すれば次のマシンを作らせてもらえる。

次のプロジェクトに参加するためには、今のプロジェクトを成功させなければいけない。同じ仕事を続けるには、今の仕事を全力で成功させなければならないということです。

まるで「鏡の国のアリス」に登場する「赤の女王」の台詞「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」のようです。

『超マシン誕生』のラストは製品発表会のパーティです。開発チームのリーダーだったトム・ウェストも発表会のパーティに呼ばれますが、対外的な責任者は別の人が立てられます。おそらくビジネスの責任者でしょう。映画なら監督ではなくプロデューサの立場の人です。

最近は違いますが、昔は現場の責任者(監督に相当する人)は表に出ないものでした。記者に「あなた(トム・ウェスト)は、このプロジェクトで何をしたのですか」と聞かれたとき、何がモゴモゴ言って話題を変えたとあります。

この「超マシン」は、鳴り物入りで登場し、間違いなく多くの人を笑顔にしましたが、開発者は億万長者にもならないし、歴史の教科書にも載っていません。

今回紹介している曲『キラリと光る』ではこう歌っています。

小さくてもキラリと光る 大人になりたい
誰かの幸せ 作れる人になりたいんだ

『超マシン誕生』のスタッフは、技術的にはともかく、世間的には小さな存在でしたが、多くの人を幸せにしたはずです。有名にならなくても、社会のために役立ったことを、どこかに記録しておいて欲しいですね。


超マシン誕生 新訳・新装版

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