「人と比べてどうありたい」というのは、動機としてはよくありますが、あまり続かないように思います。
全盛期のイチローは(今でも十分一流ですが)、野球選手として頂点にあったにもかかわらず、インタビューで今後の目標を聞かれ「もっと野球が上手くなりたい」と言ったそうです。タイトルを取りたいとか、収入を上げたいとかではなく「野球が上手くなりたい」というのは、結構すごいことです。しかも、誰かと比べているのではなく、今の自分よりも上手くなりたいと言っています。
このように、自分でこうありたいと思って動くことを「内発的動機付け」と呼びます。報酬や賞罰による動機付け(外発的動機付け)による行動よりも、内発的動機付けによる行動の方が高い成果が得られるという研究結果があります。
外発的動機付けは、いわゆる「アメとムチ」。アメも大事ですが、それより「やりたい仕事」の方が大事じゃないでしょうか。
『家畜人ヤプー』という小説に、奴隷を効率よく働かせるには賞罰ではなく、宗教を使えというエピソードが出てきます。これは、本物の宗教には失礼な見方ですが、自分の信念に従った方が高い成果が得られることは確かでしょう。実際に、巨大建築の多くは宗教が関係しています。ピラミッドだって、奴隷ではなく、自発的に参加した人が作ったと言われています。
「仕事の報酬は仕事」という言葉もあります。「いい仕事をしたら、次の(もっと楽しい))仕事ができる」という意味です。経済的な報酬ももちろん大事ですし、周囲の評価も大切ですが、もっと重要なのは「自分が満足したか」ではないでしょうか。
そして、自分が満足したかどうかは、周りの人を満足させたかで、金銭的な利益はその結果じゃないかと思います。
この曲では、昔は人と比べて悔しい思いをしたけど、今は「昨日の自分」と比べて目標を掴むんだ、と歌います。
自分が満足できて、自分が関わる人が喜んでもらうことを考えていれば評価が上がります。そうすれば経済的な問題は何とかなるものです。
経済的なものは大事だが、それ以上に「評価」というものが重要になっていきていると指摘したのが、評論家の岡田斗司夫が提唱する「評価経済社会」です。
何冊か著書が出ていますが、今回は2冊紹介します。
評価経済社会を、歴史的な変化や実例を元に論じた「評価経済社会」、評価経済社会では、働くことのあり方も変化すると指摘する「僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない」、どちらも面白い内容でした。
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