2014年11月19日水曜日

それでもどこかで(225/365)

理想を持っても、どうせかなわないからあきらめた。それでもどこかで逃げてる自分に後ろめたい気持ちを感じているようです。

高い目標に対して、「どうせかなわない」とあきらめるのは、失敗したときのダメージを回避する防衛反応という説もあります。

庄司薫の小説『赤頭巾ちゃん気を付けて』には「馬鹿馬鹿しさのまっただ中で犬死にしないための方法序説」という文章が紹介されています(主人公のお兄さんたちの同人誌という設定です)。

そこには「問題があったら、とにかくまずそれから逃げてみる。逃げ切れたら結局どうでもよかった問題だ。どうしても逃げきれない問題があったら、それが自分の問題だ」とあります。

主人公の庄司薫(小説の作者と同姓同名です)は、「では、その自分の問題を発見したときに、どうすればいいのだろう」と悩みます。

最後の最後で解決できないのですが、とりあえず自分が力を付けるための時間稼ぎとしては有効なので、ときには「逃げる」ことも悪くないと思います。「三十六計逃げるにしかず」という言葉もあります。

実は、「理想があって、それに向かっていく」というスタイル(ビジョン型)は日本人に多くないそうです。それよりも「今大切に思っていることを選択する」というスタイル(価値観型)が多いそうです(田中淳子『常に「いま大切なこと」を選んで歩む』)。

宮崎奈穂子さんの歌には、ビジョン型のキャリアが多く登場しますし、『歌・こよみ365』にも「なりたい自分」という言葉が頻繁に登場しますが、それが唯一の正しい方法ではありません。実は「別に、なりたい自分とか理想はないけどいいよね」という半ば悩んでいる歌もあるように「今、この時点で正しい選択をする」という生き方もあるということです。

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