2014年12月13日土曜日

インスタント(249/365)

インスタントなものではなく、本物を大事にしたいという曲ですが、冒頭だけ

インターネットをつなげば
いらない情報まで飛び込んでくる

と、インスタントとは直接関係ない言葉で始まります。もしかしたら「インターネット=検索=手軽」というつながりかもしれませんが、「いらない情報まで飛び込んでくる」というところに実感がこもります。

人の前に立つ仕事をしていると、評判が気になるものです。多くの人に満足してもらうのが仕事ですから、個人のブロガーが気にするのとはちょっと違います。

さて、本題のインスタントですが、原義は「近くに(in)立って(st)いる(ant)」の意味で、「近くに立っている」から転じて「すぐの」とか「緊急の」を意味する形容詞意味になったそうです。

名詞形は「instance」で、こちらは「実例」とか「証拠」とか「実体」という意味になります。「すぐ近くにある」ということなのでしょう。

インスタントコーヒーやインスタント味噌汁はすぐ飲めますし、インスタントラーメンは手軽にできます(実際にかかる時間はそんなに変わりませんが、手軽さが違います)。

手軽ではありますが、やはり代用品です。たとえば、インスタントコーヒーには分量を正確に測ればなかなか美味しいものもあります。スターバックスのインスタントコーヒー「VIA」は、店頭で売っているコーヒーの味をかなり忠実に再現していて驚きました。しかし、コーヒーを入れているときに広がる香り雰囲気までは再現できていません。

ちなみに、VIAは日本でも米国でも売っていますが、お湯の分量が違うので注意してください。日本で売っているものはスターバックスでいうショート、米国で売っているものはトールです(米国は基本的にショートサイズがありません)。

このように、インスタントは基本的に代用品ですが、独自の存在感を示すものもあります。たとえば、インスタント写真(インスタントカメラ)です。これは、ポラロイド写真(ポラロイドカメラ)を意味する言葉として生まれました(ポラロイドはポラロイド社の商標です)。

ポラロイド写真は、デジタルカメラが出る前、プロの写真家が照明のチェックをしたり、撮影前の現場を撮って原状復帰させるために使ったりしていました。

写真家のアラーキーこと「荒木経惟(あらきのぶよし)」氏は、一時期ポラロイドカメラに凝っていて「これでエッチな写真も簡単に撮れる」とエッセイに書いていました。

アラーキーは、現像過程に無頓着な人で、自分の撮った作品も街の写真屋さんに現像処理をお願いしていたそうです。彼の写真はエロチックなものが多く、当然のようにプリントを拒否されたそうです(フィルム現像はしてくれます)。

ポラロイド写真なら、その場で像が現れるため気兼ねなく撮れるというわけです。画質は決して良くありませんが、独特の雰囲気が出て、アラーキーの作風とは合っていたように思います。

デジタルカメラが普及し、「撮ったその場で見える」という利点が特別なものではなくなったためでしょうか、ポラロイド社は経営破綻しました。

入れ替わるように登場したのが、富士フイルムの「チェキ」です。ポラロイド写真と同様の使い勝手ですが、判型がかなり小さいことと、画質の良いことが特徴です。

画質については主観的なものですが、私の友人は「3割増しできれいに写る」と言っていました。おそらく、DPE店にあった店頭写真現像機のノウハウが詰め込まれているのでしょう。

デジタルデータと違い複製ができないことが、希少価値を生み、アイドルライブでは物販の定番商品となっています。同じCDを何枚買っても同じものですが、チェキは毎回違うものが入手できます。そもそもCDを出していないライブアイドル(地下アイドル)もたくさんいます。判型が小さいことで、保管しやすいという利点もあります。

インスタントなものよりも、本物を求めたいものですが、インスタントから生まれた本物もあるということですね。

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