2014年10月5日日曜日

幸福駅の歌(180/365)

幸福駅は、現在のJR北海道管轄区域の広尾線にある駅です。

広尾線が廃線になったのが国鉄(日本国有鉄道)時代の1987年2月2日、国鉄からJRに移行したのが同年4月1日なので、民営化に伴う不採算路線廃止の方向に沿ったものでしょう。

1973年には、テレビで紹介されたのをきっかけに、名前の縁起の良さからブームになり、入場券を求める人が大勢訪れました。特に、同じ広尾線にあった「愛国駅」から「幸福駅」行きの乗車券に人気がありました。

何しろ「幸福行きの切符」ですから、縁起はいいですね。

ブームを反映して、芹洋子による楽曲「愛の国から幸福へ」も作られています。


▲「愛の国から幸福へ」カバーですが、ほぼオリジナルです。

元々乗降客数は少なかったため、ブームの終了に伴い駅は忘れられ、国鉄民営化のタイミングで廃線となったわけですが、その後整備され、現在では観光地となっているようです。

愛国・幸福両駅のある帯広市でもPRをしています(「愛の国から幸福へ」愛国駅・幸福駅)。愛国から幸福行きの切符も、復刻したものが記念品として販売されているそうです。

ちなみにWikipediaの「幸福駅」によると、近隣を流れる川は水量が少ないためアイヌ語で「乾いた川」を意味する「サツナイ」と呼ばれていたそうです。

サツが付く地名としては「札幌」が有名です。これは「乾いた大きい」の意味だそうです。また、「ナイ」の付く地名は「稚内」などに見られます(「ヤム・ワッカ・ナイ」が語源で「冷たい飲み水の川」だそうです)。川を意味する単語にはベツ(登別など)もあります。ナイが小さな川を意味するのに対して、ベツは大きな川を意味するそうですが、習慣的な例外も多いそうです。

北海道の開拓民は、「サツナイ」に「幸震」の字をあてたそうです。地震のことを古語で「なゐ」と呼んだからだそうですが、ちょっと読めません。そこで、音読みで「コウシン」と呼ばれるようになったそうです。さらに、この地には福井からの移住者が多かったことから「コウシン」の「コウ」と「福井」の「福」から「幸福」になったそうです(幸福駅の歴史より)。

つまり、語源的には「幸せ」とは特に関係ないそうです。

幸福駅と一緒にブームになった愛国駅は「愛国青年団」という名の開拓団に由来するそうで、こちらも期待に反して夫婦愛や恋人愛とはあまり関係ないようです。

しかし、語源はどうあれ、幸福や愛を願う気持ちが消えるわけではありません。駅名や地名は単なるきっかけです。幸福になりたい気持ちを持った2人が、お互いに相手を思い遣る気持ちを表現するきっかけとしてはいいのではないでしょうか。

愛国駅と幸福駅は2008年7月に「恋人の聖地」として選定されたそうです。これはNPO法人地域活性化支援センターの「恋人の聖地プロジェクト」において、各地域を代表する観光施設・地域を中心に選定する、プロジェクトのシンボルということです(2014年10月時点でで127箇所あるそうです)。

幸福駅では、「幸福駅ハッピーセレモニー」という体験ができるそうです。写真を見ると、カップルが2人で鐘を鳴らしています。歌詞にある「聖なる鐘が鳴る」はこのことを指すのでしょう。

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