2014年10月29日水曜日

ななつの星に願いを込めて(204/365)

ななつの星に願いを込めて」の前半に、加筆・修正をしました。転載の転載になりますがご容赦ください。


北海道の農協から依頼された、北海道米の歌です。依頼主「米米北海道のブログ」は、勤務先を説得して楽曲を発注されたそうです。

以前に別のところで書いた記事「北海道で米を作ることと、路上から武道館へ行くこと」の前半と「デジタルカメラの技術と農産物の品質管理」を転載します。


北海道で米を作ることと、路上から武道館へ行くこと

どの国の言語でも、文化的に重要なものや身近なものには、少しの違いを区別するための言葉がいくつもできると言われています。

たとえば、英語では雄牛と雌牛、去勢牛を区別しますし、カナダエスキモーには雪を意味する単語がいくつもあるそうです。

そう考えると、日本人に取って「米」は特別なものであることがよく分かります。

植物としての名前は「稲」、収穫したら「米」、調理したら「飯」と、全部違う言葉だからです。

しかも「米を炊いたもの」と「食事一般」が同じ「飯(めし)」あるいは「ご飯」と呼ばれます。「めし」は「召す」に由来し「食べること」だそうです。米だけが食事ではないでしょうに、驚くべき重要性です。

そういうわけで「調理した米」を指すときは「米の飯」という、「頭が頭痛で痛い」的なまどろっこしい言い方をしなければいけません。

北海道では明治初期まで米がとれませんでした。旧北海道は「松前藩」と呼ばれ、米の生産量である「石高」が設定されていましたが、便宜的なものであって、米ではなかったという話です。

明治以降、品種改良が進み、北海道は質・量ともに全国有数の米産地となりましたが、まだまだ知られていません。私も最近まで知りませんでした。私が子供の頃は「米はとれるが、味は良くない」と解説されていたように思います。

 

●ななつの星に願いを込めて~北海道米応援の歌~

そこで、北海道米販売拡大委員会では、北海道米のイメージソングを作ってもらい、PRにつとめることになったようです。歌うのは、作詞・作曲も担当した宮崎奈穂子さん。

できたのは2曲あるのですが、主テーマ「ななつの星に願いを込めて~北海道米応援の歌~」がwebサイトで聞けます(いきなり曲が流れるので注意してください)。

北海道米「ななつぼし」「ゆめぴりか」にかけた歌詞が並びます。

北海道で米作りをしている人の決意と努力がふんわり歌われていて、ななかないい曲なんですが、ちょっと気になったのが「北海道米なんて、と言われた日もあった」という歌い出し。

ふつう、企業や団体をテーマにした曲ではこういうネガティブな言葉は使いませんが、いきなりネガティブです。

確かに、私の年代では北海道米というのは美味しいイメージがありません(今は魚沼産コシヒカリに匹敵するくらい美味しくなっているそうです)。

そもそも、北海道で米を作らなくてもいいだろうという意見もあったと思います。北海道と言えば、酪農やジャガイモ、それからトウモロコシのイメージですよね。

でも、最初に紹介したとおり、日本人にとって米は特別な作物です。どうしても米を作り、自給し、出荷したいと思ったのでしょう。

もともと米作りに適しているとは言えない気候の土地で、おそらくは多くの人に「米は無理だ」「わざわざ米を作らなくてもいいではないか」と言われたのではないかと想像します。他府県はもちろん、きっと地元の方からも言われたのではないでしょうか。

歌を担当した宮崎奈穂子さんは、昨年11月2日に武道館単独コンサートを実現しました。路上ライブから、せいぜい数百人の箱を経験しただけで、いきなり公称席数1万5,000の武道館です。彼女の著書や講演によると「集客なんてできっこない」「武道館でやる意味があるのか」「やるとしても段階を踏むべきだろう」と言う人もたくさんいたそうです。

それでも、子供の頃からの夢だった武道館というのは、彼女にとって特別な意味を持っているのでしょう。最終的に6,000人を集めてコンサートを成功させます。

北海道米の曲を聴きながら、そんなことを思いました。

宮崎奈穂子さんは、「武道館の感謝の気持ちを形にするため、1年で365曲、あなたの歌を作ります」というプロジェクト「歌・こよみ365」に取り組み、1年弱で完成させました。このブログ『Annoutated 「歌・こよみ365」』は、それらの曲すべてにコメントを付けるのが目的です。

「歌・こよみ」には個人の曲も企業の曲もありますが、だいたいにおいて個人の曲の方が盛り上がります。企業だとどうしてもドラマ性が薄まるので、それは仕方ないと思います。そのかわり、安心して聞ける曲になるので別に悪いことでもありません。逆に、個人の曲だと緊張が高まりすぎて疲れることもあります。

北海道米の歌は、企業(団体)対象にしてはドラマ性の高い曲になったのは、冒頭のネガティブな言葉があるからでしょう。

北海道米の歌は、シングルCDとして発売されています。ほとんどは北海道内で配布されるそうですが、先日の「Birthday Eve闇市」で売っていたので購入しました。

シングルには3曲入ってます。3曲目は「夢を歌えば」で、これは「歌・こよみ365曲」のテーマ曲ですから実質2曲です。1曲目が今回紹介している「ななつの星に願いを込めて」、2曲目が「日本一の米所を目指す北海道米の歌 Rice Land Hokkaido」です。この2曲目がさらに衝撃的でした。これについてはまた後日書きたいと思います。

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▲PR用に、こんな携帯ストラップも作っているそうです
「ふかがわまい」とあります。深川市は北海道の北空知に位置します。
北空知の風の中(196/365)」もあわせてお読みください。

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